2012年6月21日木曜日

Spotify(スポティファイ)を使ってみて



Spotifyってなに? 
 
オンライン・オンディマンド・ミュージック・ストリーミング・サービスの代表格であるSpotifyが数ヶ月前からオーストリアでもサービス提供を開始したので我が家も利用しています。 このようなサービスは、基本的に定額の受信料(Subscription Fee)を払って、ライブラリーにある音楽ファイルを無制限に聞けるというサービス。 広告入りで制限つきの無料サービスを提供している場合もあります。 このようなサービスはこれからの音楽提供方法の主流の一つになりつつあるトレンドであり、日本には、まだ無いか一般的では無い・よく知られていない様なので情報を提供したいと思いこのブログ記事を書いています。  

 Spotifyは、2007年にスウェーデンで始まったサービス。欧州で急速に普及、現在はアメリカおよびオーストラリアにもサービスを拡張。提供するサービスは、Spotify Free (無料), Spotify Unlimited (米$4.99, £4.99、ないし€4.99), Spoify Premium(米$4.99, £4.99、ないし€4.99)の三通りのサービスがあり、1千万以上の会員数うち3百万人は有料会員との2012年5月に発表。主要なレコード会社と提携し1千5百万曲以上のミュージックライブラリーを誇る。

 それぞれのサービスを簡単に説明すると、Spotify Freeは、コマーシャルが入り聴ける曲に制限がある、Spotify Unlimitedは コマーシャル なし。 Spoify Premiumになると、 コマーシャル なし、聴ける曲の制限もなし、モービルデバイス(スマートフォーン、タブレットなど)にファイルの保存が可能、高品位ストリーミング(最高ビットレート320kpbs)、Spotifyをサポートしているミュージックシステム(Sonos、SqueezeBox、オンキョウ製品の海外モデルなど)へのストリーミングが可能。

 我が家では、最初はFreeサービスを試して、Sonos Wireless Network Music Systemでも聴けるようにPremium会員になった。(Sonos も 日本ではまだ発売されていない製品でこれからの家電オーディオの主流の一つになりうるであろうと思われる製品なので、その説明・解説をホームページにアップしました:ここをクリックして下さい(僕のHPのソノスのページが開きます。)

半年ほど使ってみて...  
 我が家では、ティーネージャーの娘たちにがメインのユーザーになっています。娘達は『世界中の音楽ある!』と大袈裟に感激して、僕が聞いたことが無いアーティストをよくかけています。世界中の音楽とまでは言いませんが、まず圧倒されるのが蔵書ならぬ蔵曲の多さ。他の音楽配信サービスと独占契約を結んでいるアーチストを除いてほとんどのアーチストが見つかります (ビートルズはApple iTunesが独占契約を持っているのでSpotifyでは配信されない。) ロック・ポップのみならず、ジャズ、クラシック、ワールドすべて、メジャーなレーベルから超マイナーなレーベルまでかなりのものが見つけられます。 

うちのiMacで見たスクリーン


  入会後試しにいろいろ探してみてみたのですが、たとえばVirna Lindt という1980年代前半にイギリスのCompact Organisationというインディ・レーベルからアルバムを2枚出したスウェーデン出身の女性歌手、しいて言えばニューウェーブあるいはシンセ・ポップのジャンルに入るでしょうか。90年代後半にはLTMというイギリスのインディ・レーベルからこれら2枚のアルバムがCD化されています。たまたま、大学時代にファーストアルバムを持っていて好きだったので、Spotifyで聴けるかどうか調べてみると、これがちゃんとあるのです。しかもセカンドアルバムや一曲だけはいいっているオムニバスアルバムも。 上の写真のようにJulie LondonもCD化されたレコーディングはほぼすべて見つけることができます。
 クラシックもかなりあり、今は絶版になっているレコーディングも結構探せますし、上の写真にあるようにマイナーレーベルのレコーディングもたくさん聴けます。 バイオリンを習っている次女が、モーツァルトのハフナーセレナーデの第四楽章ロンドを習っていたとき、娘に聞いてもらうためにその曲をを探したら、重複しないレコーディングが十数曲出てきました。 

セットアップ
 セットアップはとても簡単。Spotifyのサイトで入会手続きをして、パソコンやモービルデバイス にSpotifyのアプリをダウンロードしてインストールし、ログインするだけ。 Facebookとの統合化もすすんでいるので、Facebookのメンバーはそのユーザー名とパスワードでログインします。Sonosなどの音響装置で聞く場合は別途、SpotifyのサイトでデバイスIDというのをリクエストして、それがメールで送られてきますのでデバイスIDを使ってログイン。Sonosの場合は、Sonos ControllerアプリでSpotifyがサポートされいるので別のアプリやプラグインの必要はありません。 一度ログインすると、IDの検証が行われそれが終わると使用できます。
DailyFeed
Spotify アプリのアイコン
 ユーザーインターフェイスはとてもわかり易く、iTunesなどの音楽再生ソフトを使ったことがあるならばまったく問題ありません。 あとは、聴きたい曲やアルバムを選んで聴くだけ。

音質・使い勝手
前述のようにSpotifyのアプリは使い易く、使い勝手はとてもいいです。ただし、特にモービルデバイスやSonosでの曲のサーチがシンプル過ぎるのが良くもあり悪くもあります。 サーチは、アーチスト、アルバム、トラック別に詮索するのみ。Pop ・RockそしてJazzなどはまず問題ありません。 でもクラシックで探すとなるとちょっと工夫が必要になってきます。 たとえば、モーツアルトだとケッヘル番号を入れてトラックで探し、アルバム名を元にアルバムを探すというのが今のところ手っ取り早いです。 クラッシックも良く聴くので、演奏者、作曲家などを組み合わせてサーチできる詳細サーチの機能がつくといいなと思っています。

 音質は、MP3ファイルの再生と比べる限りにおいてはまったく遜色ありません。だたし、それなりの再生環境でALAC やAIFFファイルの再生と比べると、当然ながら明らかに違いがわかります。我が家の場合、ドックスピーカやマイクロコンポを多少良くした程度のSonos Systemでも、ちゃんと違いがわかります。結構いい音で再生される曲もあるので、これらはたぶんピットレートが高いと思われるのですが、配信されている曲のビットレートはわからないので確認のしようがありません。音の良し悪しと音楽を楽しめるかどうかということは別次元の話ですので誤解の無いようにお願いします。

 スマートフォンに音源を保存して持ち歩けることはとても便利です。我が家では、iPhoneに音楽をいれて車で聴きくのにこの機能をつかっています。iPodにMP3ファイルを入れて車で聴くのと同じ感覚です。ただし、DRM機能があって、留守番中の娘がSpotifyを家で聴いていたりすると車では聞けなくなります。これは早いもの勝ちのようで、先に車で聴き始めていたら逆に家では聞けません。

導入してよかったと思うこと・気になること
一番良かったのは、色いろんな音楽を試し聴きできること。たとえは、誰かのブログあるいは音楽雑誌を読んで聴いてみたいとおもったCDは大体Spotifyでアルバムを通して聴けますので、まず何度が聴いて好きかどうか判断し、CDがほしいかどうか考えてから買うことができます。今までだとアマゾンなどでさわりを試聴、運が良くてもYou Tubeかアーチストのホームページで数曲通して聴くことしかできず、まずアルバムを全曲の試聴はできませんでした。今はそれが簡単に家でできるので、無駄な散財がだいぶ減ったと思います。月間会費がCD一枚分より易いのでコスト・ベネフィットはかなり大きいと思います。あと、いろいろと音楽を使った『遊び』ができること。たいしことでは無いのですが、先日うちでタコス・パーティーをしたさいに、Spotifyでメキシコ・ラテン・ミュージックのプレーリストを作り、ランダム・プレーでBMGにしました。こんなことがとても気楽にすぐにできてしまいます。
 
 気になることは、あまりにも蔵曲が多すぎることもあって、どれを聴こうか決めるまでに時間がかかること。そうでなければ、さわりを聴いてすぐに他の曲・アーチストに移ってしまうこと。音楽を聴く姿勢が違ってきて考えさせられます。あと、ライナーノートや歌詞カードが無いこと。さらに気になることは、 FaceBook とのリンケージ。 これはパソコンで聴く際のことなのですが、Private Listeningを選択しておかないと、誰々はいま、何々を聴いていますと逐次FaceBookで報告されてしまいます。

その他雑考
 Spotifyにはいってから家人には『こんなにあるCDは、もういらないじゃないの~』と言われてしまいました。『いい音で聴くにはCDじゃないと~』と逃げましたが、技術が進歩しより高品位で配信を可能にしてくるとミュージック・ストリーミング・サービスがでてくると本当にほとんどの人々はCDを買わなくなるかもしれませんね。そうなると音楽供給方式がさらに大きく変わり、ゲーム・チェンジャーとまで言われたiTunesなどのファイル・ダウンロードの方式は過渡的なものであったという時代が来るかもしれません。動画だと、iTunesストアで1080pの画像と5.1サラウンドで映画をレンタル・購入することができるようになっていますから、高品位のミュージックストリーミングもそれほど先のことではないかもしれませんね。

このような時勢のなか、一過的な反動なのかもしれませんが、欧米ではアナログ盤が人気を取り戻してきているということももわかるような気もします。ながら聞きはストリーミングで、集中して聴くときはアナログ盤。ウィーンでも新品のアナログ盤を売る店がかなりあり、大きな量販店でも結構なスペースをとってアナログ盤を販売しています。 オーディオファイルとしては、いろいろと考えさせられることも多いですね。

  このブログ記事を書くにあたり、いろいろと調べてみるとSpotify のようなビジネスモデルは、2002年にMIT(マサチューセッツ工科大学)がその研究に基づいて音楽業界将来を提示した『Open Music Model (オープン・ミュージック・モデル)』の概念が具体化したものとのこと。10年前に このようサービスの台頭が示唆されていたとは、ちょっと驚きでした。その論文はこちらで読むことができます。  http://dspace.mit.edu/handle/1721.1/8438
 
  ソニーが同様の音楽配信サービスを英国ではすでに展開しており、日本でも近日開始するとの事、どうせなら2匹目のドジョウを狙わずに新境地を開拓してもらいたいというのが僕の日本人としての心情です。 日経ビジネスOnline:http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120614/233335/?ST=world&rt=nocnt

   
Spotify のホームページ(米国):http://www.spotify.com/us/

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